特殊な置換積分1

積分法
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今日の1題

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点対称性を利用した定積分

今日は点対称性を利用した定積分について考えます。例えば次の問題を考えてみます。

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(1)は(2)を導くための準備です。(2)の式を利用して定積分の値を求める問題は大学入試でもよく見かけます。今日は(2)の式のしくみについて考えてみたいと思います。まず,(2)の式は\(f(\sin x)\)という関数に限られているため少し限定的なので,もう少し拡張して考えてみます。\(g(x)=f(\sin x)\)とおくと,

 \(g(\pi-x)=f(\sin(\pi-x))=f(\sin x)=g(x)\)

となるので,\(y=f(\sin x)\)のグラフは直線\(x=\frac{\pi}{2}\)に関して対称になります。したがって,\(h(x)\)を \(y=h(x)\)のグラフが直線\(x=\frac{\pi}{2}\)に関して対称であるような関数とします。すなわち,\(h(x)\)は\(h(\pi-x)=h(x)\)を満たす関数とします。いま

 \(\displaystyle{\int_{0}^{\pi}xh(x)dx=\frac{\pi}{2}\int_{0}^{\pi}h(x)dx}\)

を満たすことを主張しているわけですが,これは右辺を左辺に移項してまとめて

 \(\displaystyle{\int_{0}^{\pi}\left(x-\frac{\pi}{2}\right)h(x)dx=0}\)

を示せばよいことになります。ここで\(H(x)=\left(x-\frac{\pi}{2}\right)h(x)\)とおいてこの関数について考えると

 \(\displaystyle{H(\pi-x)=\left(\left(\pi-x\right)-\frac{\pi}{2}\right)h(\pi-x)}\)

    \(\displaystyle{=-\left(x-\frac{\pi}{2}\right)h(x)=-H(x)}\)

となり,\(H(x)\)は点\((\frac{\pi}{2},0)\)に関して対称です。よって,この関数を0から\(\pi\)で積分するとこれらが打ち消しあって0になるというしくみです(奇関数を\(x\)軸方向に\(\frac{\pi}{2}\)だけ平行移動しただけなので,しくみは奇関数の積分と同じです)。式の意味についてはいま解説した通りですが,式で説明する場合には置換積分で導きます。問題の解答を参照して下さい。

次のグラフを考えてみれば分かると思います。いま\(h(\pi-x)=h(x)\)を満たすものの代表として\(h(x)=\sin x\)とします。

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\(x=a\)と\(x=\pi-a\)における\(h(x)\)の値と\(x-\frac{\pi}{2}\)の値について,\(h(x)\)の値はそれぞれ同じであり,\(x-\frac{\pi}{2}\)の値はそれぞれ絶対値が等しく符号が異なることから,これらをかけ合わせた\(H(x)\)は点\((\frac{\pi}{2},0)\)に関して対称であることが分かります。

それでは,この公式を利用して積分の値を求める問題をいくつかやってみます。

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色々な書き方で公式を証明してあります。それでは今日の1題です。

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今日の公式を利用して定積分の値を求める問題は誘導なしで出題されることはまずないとは思いますが,しくみを知り導き方を知っていればあとは基本的な積分計算で処理できます。大学入試でもよく出題されているので,積分計算の1つのパターンとして一度は経験しておいた方がよいと思います。ではまた。

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